お肌のトラブル(乾燥肌など)
お肌のトラブル(乾燥肌など)

こどもの肌は大人と比べて皮膚が薄く、皮脂の分泌量も少ないためバリア機能が未発達な状態にあります。そのため外部からの刺激や乾燥の影響を受けやすく、湿疹や炎症、感染症などさまざまな皮膚トラブルが起こりやすい特徴があります。
小児の皮膚トラブルの中でも特に多くみられるのがアトピー性皮膚炎です。アトピー性皮膚炎は、強いかゆみを伴う湿疹が慢性的に再発する皮膚疾患で、乳児期から成人期まで幅広い年齢層にみられます。顔や首、肘や膝の内側など皮膚の柔らかい部分に症状が出やすく、左右対称にみられることも多いのが特徴です。皮膚の乾燥やバリア機能の低下を背景に、アレルギー反応や外的刺激、ストレスなどが重なることで悪化する傾向があり、日常生活に大きな影響を与えることがあります。
また、小児は感染症に伴って皮膚症状が出ることも多く、水痘(水疱瘡)、突発性発疹、溶連菌感染症などが例に挙げられます。症状が似ていても原因や治療法が大きく異なる場合があるため、自己判断せず早めに受診することが大切です。
アトピー性皮膚炎は皮膚の赤みやカサカサした乾燥が基本ですが、症状が強くなると分厚いかさぶたのような症状、搔き壊しによる傷口症状など、様々な症状が現れます。顔・首・ひじやひざの内側など皮膚の柔らかい部分に左右対称に症状が出やすく、夜間のかゆみで眠れなくなることもあります。
こどもの皮膚トラブルの原因は、乾燥・摩擦・汗などによる物理的刺激、細菌・ウイルス・真菌などによる感染、アレルゲンや化学物質への反応など多岐にわたります。アトピー性皮膚炎の発症には、以下の3つの要因が複合的に関与しているとされています。
皮膚バリア機能の低下
皮膚は外界の異物や刺激から身体を守るバリアの役割を担っています。角質層に存在するセラミドや水分が不足すると、バリア機能が低下し、アレルゲンや細菌、化学物質などが侵入しやすくなります。また、かゆみによって皮膚を掻く行為そのものも、バリアを破壊する要因となり、悪循環を引き起こします。
アトピー素因
(アレルギー体質)
喘息、アレルギー性鼻炎、食物アレルギーなどの疾患が家族にある場合や、アレルギー体質があるとアトピー性皮膚炎の発症リスクが高くなります。これらはアレルギー疾患と分類され、普段の生活環境の調整、継続的なケアや治療が重要となります。
心理的要因と
環境因子
精神的ストレスはかゆみを悪化させる大きな要因です。こどもでは学校生活、大人では職場や家庭のストレスが関与することがあります。また、ダニ、ハウスダスト、花粉、金属、化粧品などの接触アレルゲンも症状を悪化させる原因となります。また傷やバリア機能の低下があると細菌やウイルスに感染しやすくなるため、日頃のスキンケアが皮膚トラブル全般の予防において重要です。
皮膚の状態の視診で診断します。発症部位、症状の広がり方、経過などを確認しながら、他の疾患と区別していきます。治療経過を確認するために症状の強い部分を写真で撮らせていただく場合もありますのでご了承ください。
治療の基本は、原因に応じた適切な外用薬の使用と正しいスキンケアの継続です。乾燥が強い場合は保湿剤で皮膚のバリア機能を補うことが重要で、入浴後できるだけ早めに保湿剤を塗布する習慣をつけましょう。炎症がある場合は医師の判断によりステロイド外用薬などが使用されることがあります。アトピー性皮膚炎の治療は、「炎症を抑える薬物療法」「バリア機能を補うスキンケア」「悪化因子を避ける環境整備」の3本柱で進めます。
アトピー性皮膚炎の薬物治療では、炎症を鎮め、かゆみを抑え、皮膚のバリア機能を回復させることを目的とします。
アトピー性皮膚炎が疑われる場合は皮膚の保湿や副腎皮質ホルモン軟膏での加療をおすすめします。副腎皮質ホルモン軟膏の強さには5段階(weak、mild、strong、very strong、strongest)ありますが、very strong以上の強さの軟膏については、皮膚科と連携して治療を行う場合もあります。眼周囲には塗るのを控えていただく等、塗り方等の注意もありますので診察の際にお話しさせていただきます。
タクロリムス軟膏は免疫調整薬の一種で、ステロイドとは異なるメカニズムで炎症を抑制します。顔などのデリケートな部位や、ステロイド長期使用が懸念される症例に適しています。状況に応じてタクロリムス軟膏を塗布している最中に副腎皮質ホルモン軟膏を併用することもあります。
既存治療で効果が不十分な中等症〜重症の患者に対して使用されます。IL-4およびIL-13という炎症性サイトカインを標的とし、かゆみや皮疹の大幅な改善が期待されます。注射薬であり、長期的な寛解を目指す治療の選択肢として有望視されています。小児科においては生ワクチン接種については十分なデータが少ないため、接種時期について医師と相談が必要です。
保湿剤の使用によって皮膚の乾燥を防ぎ、外部刺激から守るバリア機能の回復が期待できます。入浴やシャワーの直後は、肌の水分が逃げやすい状態にあるため保湿剤をたっぷり塗布することで潤いを閉じ込めることが重要です。保湿剤の適切量とされている量は想像より多いと思われますが、日々の保湿が皮膚管理の根幹となりますので保湿をしっかり行うことが重要です。
炎症が軽快して見た目には改善しているように見えても、皮膚の奥深くには炎症が残っている場合があります。そのため、再発を予防するためには、症状がない時期であっても外用薬を継続的に使用する予防的な治療(プロアクティブ療法)が有効とされています。
アトピー性皮膚炎は長期的な管理が必要な慢性疾患ですが、近年は治療選択肢が大きく広がっており、早期からの適切な対応により、症状のコントロールも十分に可能な疾患となってきました。症状が落ち着いているときも油断せず、スキンケアや環境管理を継続することが、再発予防と長期安定につながります。
気になるかゆみや発疹がある場合には、自己判断に頼らず早めにご相談ください。患者様一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせた治療方針をご提案し、健やかな皮膚を取り戻すお手伝いをいたします。
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