溶連菌
溶連菌

溶連菌感染症は風邪と似た症状があるため区別が難しいことがありますが、原因は細菌感染であり適切な抗菌薬治療が必要です。正式には「溶血性連鎖球菌」と呼ばれ、その中でも特にA群β溶血性連鎖球菌が原因で発症する急性咽頭炎は小児に多く発症します。
溶連菌による咽頭炎では、突然の発熱(38-39℃前後)とのどの強い痛みがよく見られます。症状だけでは風邪と区別が難しいこともありますが、「いちご舌」と呼ばれる舌の変化や、体や手足に広がる細かい赤い発疹など特徴的な症状が見られることもあります。
溶連菌感染症は、A群β溶血性連鎖球菌という細菌に感染することで発症します。この菌は、感染者のせきやくしゃみによる飛沫感染、または手指やおもちゃ、食器などを介した接触感染によって広がります。感染しやすいのは、免疫力が未熟なこどもたちで、特に保育園や幼稚園、小学校などの集団生活の場で流行しやすい傾向があります。一度感染しても他の型で再び感染することがあり、繰り返しかかる子も少なくありません。
溶連菌感染症は、視診(のどの赤みや発疹の確認)や問診だけである程度の見当がつきますが、確定診断のためには「迅速検査キット」を使ってのどの粘膜をぬぐい、菌の有無を調べる検査が一般的に行われます。この検査は数分で結果が出ます。この際に注意が必要となるのは「保菌者」といって咽頭に溶連菌が常在していることがあることです。この場合、検査をすると毎回陽性となるため抗菌薬加療が慢性的に行われてしまう可能性があります。そのため、症状や診察所見も含めて総合的に判断することが大切です。
溶連菌感染症は細菌による病気であるため、抗菌薬を使った治療が有効です。最もよく処方されるのはペニシリン系の抗菌薬で、これらは溶連菌に対する効果が高いとされています。内服により発熱、のどの痛みといった症状が比較的早く改善することも溶連菌感染症の特徴です。症状は数日で改善しますが、再発や合併症を防ぐために10日間の内服を続けることが大切です。途中で内服をやめてしまうと、体内に菌が残って再発するだけでなく、炎症が長く続くと急性糸球体腎炎やリウマチ熱などの重い合併症につながるリスクがあります。
治療開始から1-2日で多くのこどもは熱が下がり、のどの痛みもやわらいでいきます。発熱や頭痛がつらい場合には、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を併用して症状を和らげることがあります。食事は無理に摂らせる必要はありませんが、のどの痛みが強いうちは冷たいプリンやヨーグルト、おかゆなど刺激の少ない柔らかい食品がおすすめです。また脱水を防ぐため、水分はこまめに摂るよう心がけましょう。
抗菌薬を開始すると感染力は比較的早く低下しますが、自己判断で登園・登校するのではなく医師の指示や園・学校のルールに従うことが大切です。集団生活への復帰は学校保健安全法では『抗菌薬を飲み始めて24時間以上経過し、解熱していれば登園・登校が可能』とされています。登園・登校許可証が必要となることが多いため、園・学校に確認の上でご相談ください。
溶連菌感染症は、風邪のように見えて実は細菌感染であり、しっかりと治療すればすみやかに回復できる病気です。ただし、放置すると合併症を引き起こすこともあるため、早期の受診・診断・治療がとても重要です。「のどの痛みや発熱が続く」「口の中が赤くて痛がる」などの症状が見られた場合は、溶連菌感染症の可能性も含めて、早めに受診することをおすすめします。ご不安なことがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。
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