便秘
便秘

小児は腹筋が弱く、また、排便習慣もまだついておりません。食事形態も大きく変わるため、排便のお悩みも少なくありません。排便の経験や習慣は、成長の過程で身につけていく「排便力」に大きく関わっており、その発達がうまくいかないことで、便秘が慢性化してしまうことがあります。こどもの腸や排便機能は成長途中にあり、年齢や発達段階、生活環境によって排便のリズムや形は大きく異なるため「何日に1回出ていれば正常」という単純な基準で判断することはできません。
大切なのは、その子にとって無理なく、苦痛なく、出し切れているかという視点です。便秘が長く続くと直腸が伸びることで便意を感じにくくなったり、硬い便を出すときの痛みで排便を避けるようになったりする悪循環に陥ることがあります。排便が「つらいもの」「痛いもの」という認識になってしまう前に、成長段階に合わせた適切な対応を行うことが、小児便秘症の治療ではとても重要です。
小児の便秘症では、以下のような症状がみられることがあります。
一見「うんちは出ている」ように見えても、2~3日に1回で毎回苦しそう、出し切れずに途中でやめてしまう、オムツでしか排便できないといった場合は、排便機能が十分に育っていない可能性があります。泣いてしまうような腹痛でも原因は便が詰まったことによる腹痛である可能性があります。
小児の便秘症の原因は一つではなく、いくつかの要因が重なって起こることがほとんどです。まず多いのが、「排便時の痛み」をきっかけに便を我慢するようになるケースです。硬い便で痛い思いをすると、こどもは自然と排便を避けるようになり、腸に便がたまり、さらに硬くなるという悪循環が生じます。また、トイレトレーニングの時期や、入園・入学、生活リズムの変化なども便秘のきっかけになります。慣れない環境で落ち着いて排便できないことが、便意の我慢につながることもあります。食事内容や水分摂取量も影響することはありますが、必ずしも「野菜不足」「水分不足」だけが原因とは限りません。食事に気をつけても改善しない便秘も多く、排便機能そのものの発達が関係している場合もあります。
便が固く排便がつらい場合、便の硬さを調整する治療で症状が改善することがあります。小児の便秘症の治療で最も大切なのは、「排便のリズム」と「出し切る経験」を積み重ねていくことです。治療の目標は、毎日または1日おきに、便意を感じたら無理なく排便できる状態を作ることにあります。治療は、年齢や症状に応じて、生活指導、トイレトレーニング、内服薬、グリセリン浣腸などを組み合わせて行います。内服薬や浣腸は、排便を助けるための「サポート役」であり、排便機能が育つまでの大切な治療手段です。
「薬に頼りすぎて大丈夫か」「自分で踏ん張らなくなるのでは」と不安に感じるご家族も多いですが、しっかり出し切ることで自力で排便できる力が育っていきます。排便力の成長には時間がかかるため、数か月から年単位での治療が必要になることも珍しくありません。小児の場合は非刺激性緩下剤という便性を調整する薬剤を使うことが多く、これらは薬がないと排便できなくなるような、いわゆる「クセ」になりにくいものとなります。
浣腸は直腸周囲の便を出すには適していますが、便の状態を安定させるためには、内服薬による調整が重要になることが多くあります。十分な排便が3-4日みられず、お子さんが排便できていない時には浣腸による排便で便栓(栓のようになってしまった便)が排泄できれば楽になることもあります。
便秘治療はその子のペースを大切にしながら、治療の軸をぶらさずに続けていくことが、改善への一番の近道です。お悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。
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